シードばあさん

 今日も朝一番に、石橋をコツコツと杖で叩いて渡り
シードばあさんが診察にきました。
「コンコン」診療所の白いドアを叩くと、「フンガァー」と
声のような、吐息のような音をたててシードばあさんが
入ってきます。

 「あのんネ~しゃえんしぇい、なんだか今日は様子がおかしいの~~、カパッっ」
いつも喋り終わると、合わない入れ歯が口の中で落ちる音がする。
聞いてみるとみぞおちのあたりが昨夜からモヤモヤと気持ち悪いらしい。
シードばあさんは心筋梗塞という病気で隣りの街の病院に入院したこと
があるので、「また、心臓やないやろ~~かッ~、グファっ。」(こんどはなんの音だか
わからない。)

 それでは念のために心電図検査をしましょう。
さっそく、看護師のマレイン女史にたのんで心電図をとってもらう。
この国の医療には目をみはるものがある、病気を機械で診断できるのだ
マレイン女史はピーチクパーチクの村長の娘さん、好きな色は黄色で
明るく、元気でなんでもてきぱきこなしてくれ、この国の医療に不慣れな
私を助けてくれる。

 シードばあさんが検査を受ける前に私は、今見て落ち着く色を
選んでもらった、答えは黄緑、いつもばあさんが好きで選ぶ色は赤色
いつもとは違う色だ。私の中ではもう病気の診断がついた。

 心電図の結果を見ると、やはり心臓には異常がない。
私の確信は深まる。

 「あのね、シードさん、昨日何食べた?」

「ファっ~??」

 「あのね、昨日の夜、なに食べた?」

 「・・・・・・・・・、」 聞き取れないらしい。シードさん極度の難聴なのだ。

すかさず、看護師のマレイン女史はシードばあさんの耳元で大声で聞きなおしてくれた。

 「んぁ!!、晩ご飯!?」 「カパぁッ!フンガァー~と、え^^と、トンカツぁーやった。」
「あ~~トンカツね、なるほど」

 黄緑胃の不調がある時に選ぶことが多い色、
 昨夜のトンカツが胃にもたれたのだ。
 私は胃薬を処方して、ばあさんも納得して満足してご帰宅。

 ふーっ、
 それにしても、この国のご老人は、夜にトンカツなるものを食べるなんて
 シードばあさんはもう90歳を越えているらしい。
 私の国では到底、考えられないこと
 心電図などとる必要もなかった。おかしな国だ・・・。
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# by nijiirosinryoujyo | 2011-05-20 22:00 | 色彩診断  

はじめまして、虹色診療所です。

 はじめまして、こちら虹色診療所です。
場所はピーチクパークの湖のほとりから数メートル先
橋が無くても渡れそうな浅瀬に渡された石橋を渡ると
小さな小さな島があり、そこにぽつんと建っている
ノルウェー風の赤い木の家が私の診療所です。

 私は数年前にとある国からやってきました。
私の国では色彩で病気を診断し、治しています。
それが当たり前だと思っていました。その国はとてもとても
高い山の上にある国で、ここの人たちはその国のことを
知りません。私はその国でヒポと呼ばれる医者をしていました。
ある日、患者の家へゆく時、小舟で川を渡っていると突然
洪水に飲み込まれて流され、気がつくとこのピーチクパーチクの
湖のほとりに流れ着いていたのです。

 ピーチクパーチクの村人たちは私を親切に介抱してくれました。
それで、その御礼に私はここで診療所を開設することにしたのです。
私は私の国で当たり前のように行っていた、色彩で病気を診断する
方法で治療を始めました。それが、ここの村人たちには珍しかった
ようで、みんな私の診療所を虹色診療所と呼ぶようになりました。

 これから、ここでの村人たちと私の診療日誌を気のおもむくままに
綴ってゆきたいと思います。

 あ、申し遅れました、私の名前はフラと言います。
みなさんにはフラ先生と呼ばれています。
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# by nijiirosinryoujyo | 2011-05-20 21:22